続編

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翌朝。 ダイニングルームに現れた琉生は、回りを見渡す。 そして、椅子に腰を下ろしながら、口を開く。 琉生「ユキは?」 英一「出て行った」 琉生「なっ!?」 琉生は、立ち上がる。 琉生「ユキは行く宛もないんだぞ!? 追い出すことないだろ!具合も悪いのに!」 英一「誤解をするな。 ユキが出て行きたいと言って来た。 私は、ただ、本人の意向を尊重しただけだ」 琉生は直輝を見る。 琉生「お前も知ってたのか?」 直輝「はい」 琉生「どこへ行った?」 直輝「存じ上げません」 琉生は、苛立ちを隠せずに直輝の前に行くと、胸ぐらを掴んだ。 琉生「何故、俺に言わなかった!?」 直輝「ユキの希望です。 ユキが、琉生様のためだと言ったからです」 琉生「っ!」 直輝「ユキが何を言いたいのか分かりますか? ユキが、あなたに何を望んでいるのか、お分かりになりますか?」 英一「もうその辺にしておけ。 たかが、メイドが一人いなくなったくらいで、朝から騒ぐな」 琉生は悔しそうな顔で、直輝の胸ぐらを掴んだまま、突き飛ばした。 そして、ダイニングルームを出て行った。 琉生は家を出ると、携帯を取り出す。 電話をかけながら、通りを見渡すが、ユキの姿は見えない。 琉生は目を瞑る。 琉生「頼む。頼むから…出てくれ」 しかし、願い虚しく、留守電に切り替わる。 琉生「馬鹿かお前は。 俺に何も言わずに出ていくなんて、どういう神経してるんだ。 すぐに電話しろ」 琉生は電話切った。 そして、そのまま立ち尽くす。 どこへ行ったんだ、ユキ… また失うのか? お前を… .
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