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月島邸の厨房で、まかない丼を食べる二人。
ユキは、日本茶を二つ淹れた。
月島「一杯、いくらだ?」
ユキ「5万の中に含まれてる」
ユキは、月島の前にお茶を置く。
月島は、熱がりながらも、お茶を啜る。
月島「ところで、お前…」
ユキ「何?」
月島「あの時、何で凍結しろと言った?」
ユキ「どう考えたって、凍結でしょ」
月島「何故だ?」
ユキ「敵は内部にいるからよ」
月島「何?」
ユキ「そうとしか考えられないじゃない。
まさか、気付いてなかったの?」
月島「まさか」
ユキ「どんな会社なのか知らないけど、大層な会社なんでしょ?
そんな会社のセキュリティを掻い潜るのは無理。
でも、全てを知る…そして、パスワードさえも持ってる社員なら、可能」
月島は、黙って聞いていた。
ユキ「凍結しなきゃ、そいつの思うツボ。
被害は広がる。でしょ?」
ユキは、空いてる丼を片付けながら続ける。
ユキ「しかも、凍結みたいな目に見える対処の仕方は、顧客に与える印象だって変わるはずよ。
いち早く対応したって。
確かに、凍結してる間は収入がないかもしれないけど、凍結しなかった場合の信頼を含む被害額と比べれば、将来的に間違いない選択じゃない?」
月島「お前、そこまで考えられる頭を持ってるのに、何故、身体を売るまでして金にこだわる?」
ユキ「金の亡者だから」
ユキは、月島にお茶を注ぐ。
ユキ「私が怒られるから、湯飲みは流しに入れといて」
そう言うと、ユキは、厨房を後にした。
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