続編

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その夜。 早速、運び込まれた未処理の山積みの書類。 ユキは、書類に目を通していく琉生に、コーヒーを出してから、夕食作りに入る。 正直なところ、食欲はない。 ムカムカとした気持ち悪さは続いている。 ここで、料理したら、またトイレに駆け込むことになるかも… でも、琉生には、ちゃんとご飯食べてもらわなきゃ! よし!頑張ろ! 軽い目眩を覚えながら、ユキはキッチンに立つ。 ここに来るときに買った、必要最低限の食材を出す。 袋から出して、立ち上がった時 ガチャン! キッチンに置いてあった食器たちが落ちる。 琉生「ユキ?」 琉生が顔を上げると、さっきまで見えていた、キッチンに立つユキの姿が見えない。 琉生「ユキ?」 琉生は書類を置くと、キッチンに向かう。 琉生「ユキ!どうした!?」 そこには、青白い顔をしたユキが胸を押さえて、しゃがみこんでいた。 ユキ「大丈夫…。騒がないで。 いつものことだから」 琉生「顔色が悪いぞ。とにかく、休め」 ユキ「顔色?そりゃ…貧血だもの」 琉生「いいから、ほら」 ユキ「大丈夫。ご飯作らないと…」 琉生「何言ってんだ」 琉生はユキを横抱きに抱き上げると、寝室に向かった。 琉生「大丈夫か?」 横になるユキを上から見下ろすように、琉生はユキを見る。 ユキ「大袈裟ね…。大丈夫。 ちょっと休んだら、ご飯作るから」 琉生「いいから、寝とけ」 ユキが少しの眠りにつくまで、琉生はユキの傍にいた。 ……どれくらい、眠ってしまったのだろう。 ご飯の、かすかな香りを感じる。 ユキが、うっすら目を開けると、琉生が器を手にして立っている。 琉生「起きたか? 俺が、夕飯作った」 ユキ「え?琉生が?」 琉生「いいから、食べてみろ。 ほら、あーん」 ユキ「本当に大丈夫~?」 目がぼやけながら、少し微笑んで、ユキは口を開ける。 温かい、お粥が口に入って来て、ユキはボヤけた目を擦りながら味わう。 ユキ「うっ…!」 .
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