74人が本棚に入れています
本棚に追加
琉生「すごい、ご馳走だな。
これ全部、ユキが?」
ユキ「もちろん」
琉生「あまり無理するなよ」
ユキ「大丈夫!
今日は、二人のスタートのお祝い!」
ユキは、嬉しそうに微笑んだ。
ユキ「月島邸にいた時よりは、はるかに劣る食事だけどね」
琉生は、ユキの手を引いて、椅子に座らせる。
そして、ユキの前に膝を付いた。
ユキ「琉生?」
琉生「確かに、劣るかもしれないな。
でも、帰って来た時、家の灯りが灯っていて、家の中にお腹に命を宿したユキがいると思うだけで、幸せを感じたんだ」
ユキ「急にどうしたの?」
琉生「どうもしない。ただ、聞いて欲しいんだ。
本当に、価値があるのは、値段のつくものじゃない。
食事のメニューじゃない。
目に見えない、値段のつかないものが、何より大切なんだ。
ユキ。
全て、お前が教えてくれて
俺に与えてくれたものだ。
金さえあれば、何でも手に入る。
金が全てものを言う。
そう信じて、疑うことさえもしなかった俺の前に、お前は現れた。
ことあるごとに、金を要求するお前を、金の亡者だ、とも言ったこともある。
でも、本当の金の亡者は俺だった。
金の亡者に見えたユキは、本当は優しさと強さに溢れてた。
ユキ。
お前を愛してる。
ユキがいれば、金もいらない。
ユキと一緒にいる時が、一番幸せなんだ。
だから、これからも一緒にいてくれ」
琉生は、ポケットから、小さなケースと封筒を取り出す。
ユキは、涙を浮かべて琉生を見る。
琉生が開けたケースの中には、キレイなプラチナの指輪。
琉生は、指輪を取ると、手を差し出した。
ユキは、琉生の手に左手を乗せる。
琉生は、微笑みながら、薬指にはめた。
よく見ると、細かな花のような模様が全面に描かれている。
琉生「ストックという花を彫ってもらった。
花言葉は
永遠に続く愛の絆 」
.
最初のコメントを投稿しよう!