続編

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数日後の朝。 琉生は、Yシャツの袖口ボタンをはめながら言う。 琉生「今日、昼間、大神が来るらしいんだ」 ユキ「大神さんが?」 琉生「近くに用事があるらしく、そのついでに顔出すって。 俺はいないこと伝えたが、渡したいものがあるだけだとか」 ユキ「分かったわ」 琉生「じゃあ、行って来る」 ユキ「行ってらっしゃい」 琉生は、ユキの額にキスをすると出掛けて行った。 ユキは、お茶やお菓子のチェックをする。 ユキ「大神さんは、甘いもの好きかしら? それとも、お煎餅とかの方がいいかな…」 ユキは、家の中を軽く掃除すると、奏の到着を待った。 そして、奏たちは意外に早い時間に来た。 奏「久しぶりだな、ユキ」 ユキ「その節は、お世話になりました」 奏「順調か?」 ユキ「はい。とても」 ユキは、一緒に来た、仁と榊を見る。 ユキ「ようこそ。 どうぞ、お上がり下さい」 榊「では遠慮なく」 仁「邪魔するぜ」 ユキは、お茶の準備をする。 奏「お前たちに、渡したいものなんだけどな、ユキ」 ユキ「はい」 ユキは、お盆にお茶とお菓子を乗せると、3人の前に出した。 奏「家の中には入んねぇから、外だ」 ユキ「外?」 奏「二人の門出祝いだ。必需品だからな」 ユキ「み、見てきてもいいですか?」 奏「おう」 4人で外に出たユキは、呆然と立ち尽くす。 ユキ「あの…、どれですか?」 仁「わかんねえかねぇ」 榊「無理もないですよ」 含み笑いをする3人を、ユキは不思議そうに見る。 仁「これだよ、これ!」 ユキ「えぇっ!…まさか!」 仁は、黒いワンボックスカーの扉を叩いた。 榊「中も見て下さい」 榊は、後ろのドアを開ける。 ユキ「チャイルドシート…」 奏「一般的には、あまり早くこういうのは買っちゃいけないらしい。 でも、買った以上、絶対に元気なガキを産めよ?」 仁「ま、奏が勝手に買ったんだけどな」 奏「バカ。りおが行く行くは必要になるし…って言ってたんだよ」 ユキ「ありがとうございます。 何もお礼が出来なくて…」 奏「礼なんかいらねぇだろ? 門出祝いなんだから」 .
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