続編

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病室の廊下に、走る足音が響く。 バンッ!! 琉生は、勢いよく病室に飛び込んだ。 琉生「ユキ!!」 ユキ「なに?」 琉生「え…?」 ユキは、病室のベッドの上で、足を伸ばして座っていた。 お腹から下は、布団が掛けられている。 病室には、奏たちもいた。 ユキ「安心して。赤ちゃんは無事よ」 琉生は、ほっと胸を撫で下ろす。 琉生「ユキ、お前は?」 長袖を着たユキは、包帯が巻かれた手を見せた。 ユキ「手を少し切っただけよ」 琉生「そうか…」 琉生の表情が険しくなる。 琉生「あの男は? 俺が、この手で息の根を止めてやる!」 榊「若が、ご制裁済みです。 もう2度と、お二人の前には現れませんから、安心して下さい」 仁「二人の前どころか、陽の目も、な」 琉生は、奏を見る。 奏は、難しい表情をしていた。 琉生「奏、ありがとう」 奏「いや…。 ユキがそれでいいなら、俺は何も言わねぇよ」 琉生「え?」 ユキ「大神さん、榊さんも、仁さんも、本当にありがとうございました」 榊「大事にして下さいね」 仁「あんたに似て、強ぇ子だな、腹の子」 奏「琉生も来たことだし、行くぞ」 奏は、言葉少なに病室を後にした。 琉生「奏が言ってたのは、何なんだ?」 ユキ「さあ…。私にも分からないわ」 琉生「今日は、このまま入院か?」 ユキ「念のため、今日だけって」 琉生「大丈夫か?」 ユキ「琉生は仕事もあるんだし、帰って」 琉生「仕事なんて、どうにでもなる。 今は、ユキ。お前の傍にいたいんだ」 ユキ「私のために、仕事に影響があっちゃ駄目よ。 明日、仕事を早く終わらせて、私を迎えに来て」 琉生「でも」 ユキ「私は大丈夫! 今の仕事を早く終わらせて、家で仕事出来るようになって」 琉生は、しばらく悩んでいた様子だった。 琉生「…本当に大丈夫なんだな?」 ユキ「大丈夫!」 .
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