続編

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1泊だけの入院から帰って来たユキと琉生。 琉生「少し、横になってたらどうだ?」 ユキ「大丈夫よ。琉生は?仕事?」 琉生「だいぶ、先が見えてきたんだ。 この分だと、家で仕事出来るようになるのも、すぐだろ」 ユキ「そっか」 ユキは、微笑んだ。 その後は、二人でテレビを観たりしながら、ゆっくり過ごした。 ユキ「そろそろ、夕食を作ろうかな。 何でもいい?」 ソファから立ち上がろうとしたユキの身体に激痛が走る。 どこが痛いのか分からないほど、全身に痛みが残っていた。 立ち上がろうとしたまま、ユキは、しゃがみこんでしまう。 琉生「ユキ?どうした!?」 琉生は、ユキを支える。 ユキ「大丈夫よ。 い、いつもの立ちくらみ」 琉生「無理するな。夕食はいいから。何か買ってくる。 ユキは、何だったら食べれる?」 ユキ「立っちゃえば平気だから」 ユキは、琉生の手からすり抜けると、キッチンへと向かった。 食器棚が新しくなっていて、中の食器もブランドもので揃えてあった。 ユキ「この食器棚…」 社長に食器棚に投げ飛ばされて、食器も、食器棚もボロボロになったはず… 琉生「奏が、食器棚を送ってくれたんだ。 車だけで、充分なのにな」 ユキ「車だけって…、すごい驚いたわよ、私」 琉生「俺も最初は驚いたさ。 お祝いに贈るにしちゃ、桁外れだよな。 でも、よくよく考えてみたら、奏のやりそうなことかもなって」 琉生は笑った。 ユキは、少し呆れ顔で笑うと、手を洗おうと、腕捲りをする。 露になる傷。 琉生を見ると、テレビを観ている。 ユキは、少し捲ると、手の包帯を外す。 改めて傷を見ると、思い出してしまう。 ユキは、深呼吸をして、鼓動を落ち着かせようとする。 大丈夫よ。 大丈夫。 心配しないで。 今は、琉生がいるじゃない。 ユキは、言い聞かせながら、食器棚から、お皿を取った。 あ! と思った瞬間、ユキの手から滑り落ちたお皿は、音を立てて割れた。 ユキ「やだ、ごめんなさい」 ユキは、片付けようとしゃがむが、まるで、あの時に戻ったかのような息苦しさが襲う。 .
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