続編

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琉生「大丈夫か?素手で触るな。俺がやる」 ユキ「…ごめん。お願い。 ちょっと、トイレ」 ユキは、手の傷を見られる前に立った。 急いでトイレに向かうが、息が持たず、手前のバスルームに倒れ込む。 ユキ「はあ、はあ、はあ…」 苦し… 今まで、こんなに苦しくなったことないのに… 目を閉じると、あの男の残像が浮かび、吐き気を覚える。 大丈夫。 大丈夫だから… 苦しくない… 琉生にも、傷を見られてない。 浴槽にもたれかかりながら、洗い場にしゃがみこんでいると、廊下で琉生の声がする。 琉生「ユキ?」 トイレのドアを開けて閉める音がする。 今は駄目… 息が整わず、傷も露。 立つことも出来ない。 こんな状況、見られるわけにはいかない…。 ユキは、洗い場を這うようにして、バスルームの鍵を何とかかけた。 鍵を掛けたのと、ほぼ同時くらいに、脱衣室のドアを開ける音がした。 琉生「ユキ?」 ユキは、身体を引きずりながら、ドアから離れる。 バスルームのドアがノックされる。 琉生「ユキ?」 ユキは、出来る限り息を整えて、返事をした。 ユキ「な…なに?」 震えてしまう声を何とか普通に戻そうと、深呼吸をする。 琉生「どうした?」 ドアノブが、ガチャガチャと音を立てた。 ユキ「は、入って、こ、来ないで!」 琉生「いいから、取り合えず開けろ」 ユキ「バカ言わないで…。入浴中、よ…」 ユキは、音を聞かせるために、残った力でシャワーを捻る。 ユキ「っ!」 シャワーの向きなど構わずに蛇口を捻ると、洋服を着たままのユキの上に、シャワーは容赦なく降り注ぐ。 ユキ「っ!!」 .
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