続編

64/92
前へ
/207ページ
次へ
琉生「ユキ!」 湯けむりで霞む中、ユキは洋服を着たまま、シャワーに打たれて、ぐったりしていた。 琉生「ユキ!大丈夫か!? 何してんだ、お前は。 とりあえず、脱ぐぞ」 琉生は、ユキの洋服に手をかける。 ユキ「やめて…。お願い…」 琉生「いいから」 琉生は、ユキの手首を掴む。 ユキ「っ!」 ユキは、反射的に手を引いた。 琉生は、ユキの手首を見る。 そこには、くっきりと紐で縛られた跡が残っていた。 琉生「ユキ…」 ユキ「やめて…」 琉生から手を離すユキ。 琉生は、言葉を失う。 シャワーの音だけが、ただ響いていた。 琉生「大丈夫だから、ユキ。 脱ごう」 琉生は、ユキの濡れた洋服を脱がしていく。 そして、無数の傷が露になっていく。 琉生「ユキ」 ユキは、琉生の手を押さえて、琉生を見つめた。 ユキ「…何で入って来たの?」 琉生「俺は」 涙目で、ユキは責めるように琉生を見つめる。 ユキ「ドアを壊してまでして…見たかったのが、これ?」 琉生「違う」 ユキ「いやだ…。嫌だよ」 ユキは、琉生の手を両手で包んだ。 そして、涙がこぼれる。 ユキ「…やだよ、琉生。 お願いだから…傷付かないで!」 お願いだから、傷付かないで。 そう言って泣く、ユキ。 琉生「何言ってんだ…」 傷付いたのは、ユキ、お前なんだ 一体、誰の心配をしてる ユキは、首を横に振る。 ユキ「私が一番嫌なのは、琉生が傷付くことなの! …だから、隠しきるつもりだったのに!」 琉生「…馬鹿か、お前は」 琉生は、ユキを抱き締めた。 琉生「俺が、無理矢理にでも入って来たのは、ユキの異変に気付いたからだ。 もしかしたら、また ツラいのを隠してるのかもしれない 苦しんでるのかも知れない 一人で必死に耐えてるのかも知れない。それも、とても耐えがたい苦しみに。 そう思ったら、居ても立ってもいられなかった。 だから、無理矢理にでも来たんだ」 ユキは、琉生に抱き締められたまま、声に出して泣いた。 ユキ「ごめんね、琉生。 …こんな自分は大嫌い。 汚くて、醜くて…大嫌い」 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加