トラブル

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突然、ユキの身体が軽くなる。 そして、次にユキの目に入って来たのは、悲しい顔した月島だった。 「社長…、何でここに」 月島「信じていたのに…信じていたんだぞ!!」 月島は、男を殴る。 月島「一緒にやって来たんじゃないのか!」 月島は、もう一発殴ろうと、拳を上げる。 ユキ「やめなよ…」 ユキの冷静な一言に、月島は振り返る。 ユキは立ち上がると、メイド服を整え、埃を払いながら言った。 ユキ「そういう奴って、いるんだよ。 平気で裏と表の顔が作れるんだって。 表裏一体だと思ってる方がおかしいんじゃない?」 ユキは言いながら、破れた箇所を確認していく。 ユキ「だから、殴ったとこで何にもなんない。 自分の手が痛くなるくらいなら、殴らない方がマシじゃない?」 そう言うユキは、諦めに似た表情をしていた。 月島「お前は大丈夫か?」 ユキ「私?私は別に。 もっと凄いの経験したことあるから、ご心配なく」 月島「馬鹿。今日は下がってろ」 ユキ「嫌よ。元気なのに」 月島は、溜め息をつくと、男を見る。 月島「お前はクビだ」 「クビ!? 社長!それだけは!!」 月島「お前がやったことは、犯罪だ。 それだけじゃない。 こうしてる今も、会社で何とか立て直そうと、必死になってる奴らがいる。 お前は、その中には、入れない」 「もう一度!もう一度だけ、チャンスを!」 月島「駄目だ。お前は、俺の信用を失った」 ユキは男の傍に行くと、言った。 ユキ「今の私みたいに、最初から信用されてなければ良かったのにね」 そして、営業スマイルを向ける。 ユキ「お帰り頂けますか?」 男は力なく立ち上がると、月島邸を出て行った。 .
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