続編

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「琉生…」 ユキが俺を呼んでいる。 ついさっき、一緒に眠りに堕ちたのに。 「琉、生…」 苦しそうだ。 「お、願い、起きて」 琉生は、はっと目を開ける。 隣を見ると、ユキがいない。 琉生「ユキ!?」 ユキ「ここ…」 ベッドのわきから声がして、琉生は飛び起きる。 ユキは、ベッドのわきで座り込んでいた。 額に大粒の汗が滲んでいる。 ユキ「っ!」 痛みに顔を歪めるユキ。 琉生「どうした!?」 ユキ「今…、トイレ行ったら…急に…」 琉生「!?」 ユキ「生まれるみたい…」 琉生「!!」 琉生は、慌てながら、よろよろと立ち上がる。 琉生「ちょ、ちょっと待ってろ。 今、病院に連絡してやる」 ユキ「うん…」 電話をしている間も、ユキは時々、顔を歪めて、身動きが取れなくなっている。 かと思えば、ふっと息をつく時もあるようだ。 琉生「あ、もしもし? 月島です。妻のユキが、陣痛が来て…」 もう何を言ってるのか分からない。 琉生「え?まだ? いやでも、すごくツラそうで… 10分間隔になるまで? そうですか…分かりました」 琉生は、苛立ったように、電話を切る。 琉生「ユキ、大丈夫か? 病院は、10分間隔になるまで自宅で待てって」 ユキ「だ、大丈夫。10分間隔になるまで家で、って…先生、前も言ってた、から」 痛みに耐えるユキを見てると、落ち着かない。 どうしてあげたらいいのか 陣痛なら、痛みは取れないだろうし 琉生「大丈夫か、ユキ」 ユキ「大丈…っ!つっ!!」 ユキの陣痛は段々とひどくなってくるようで、痛がり方も強くなって来ている。 布団を掴んで、声も出ないくらいに耐えている。 琉生「ユキ…」 琉生は、ユキの腰をさする。 .
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