続編

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陣痛に苦しむユキと 早く外に出て来たい赤ん坊。 なのに、肝心な子宮口が 開かない。 琉生は、ユキの汗を拭う。 ユキの唇は渇き 陣痛のわずかな合間に寝てしまう。 そして、数分後に来る陣痛の波に また起こされて また耐える。 医師や助産師は、他のお産があり、そちらに行ってしまっていた。 琉生「ユキ、水分とれるか?」 ユキ「う…ん」 朦朧としながら、ユキは渡された水のみ持つが、力が入らず落としそうになる。 琉生「大丈夫だ、ユキ」 琉生は、自分の口に水を含むと、ユキに口移しする。 ユキの喉が小さな音を立てて、流れていった。 ユキ「甘い…」 琉生「俺の愛が入ってるからな」 ユキは、朦朧としながらも微笑む。 そして、涙を浮かべた。 ユキ「赤ちゃん…、会いたくないのかな、こんなママじゃ…。 神様が会わせてくれないかもしれない… 悪いことばっか、してきたから…」 ユキの目から涙がこぼれる。 琉生は、ユキの手を握る。 琉生「バカなこと言うな。 赤ん坊は、早くキレイなママと、カッコいいパパに会いたくて、必死に出て来ようとしてる」 ユキは泣き笑う。 ユキ「ちゃんと産んであげたいのに…」 琉生「ちゃんと産めるさ」 ユキ「っ!」 陣痛の波に、握られたままの琉生の手を思いっきり、握る。 爪があたり、琉生の手の甲に血が滲む。 ユキ「!ご、ごめ」 痛みに耐えながら、ユキは手を離そうとする。 しかし、琉生に再び握られてしまう。 琉生「こんなの、痛くも痒くもないさ」 ユキ「琉生…」 琉生「愛してるよ、ユキ」 ユキ「琉生…」 .
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