続編

71/92

74人が本棚に入れています
本棚に追加
/207ページ
陣痛の合間に寝てしまうユキ。 長い時間が過ぎ、琉生まで一緒に寝てしまいそうになる。 そして、ユキの苦し出す声で、はっと目が覚める。 そして、また、二人してまどろんだ頃… ピロロン! ピロロン! 聞き慣れない音に、琉生は、はっと顔を上げる。 音の方を見ると、ユキの心電図モニターからアラームが鳴っている。 琉生「ユキ!?」 ユキ「琉生…、苦しい…」 モニターを見ると、脈拍数は160を示していた。 琉生「先生!先生!」 琉生は、ナースコールを押した。 すぐに、助産師が来る。 モニターを見て、明らかに焦った表情をする。 「月島さん!?大丈夫!?」 ユキ「苦し…」 助産師は、PHSで医師に電話をする。 「先生、月島さん、HR160です。Spo2も下がってます! それと…胎児心拍も」 琉生「え…?」 助産師の言葉を聞いて、ユキは取り乱す。 ユキ「赤ちゃんは!? 赤ちゃん、どうしたの!?」 取り乱したことで、ユキの脈拍はさらに速くなる。 琉生「ユキ、落ち着くんだ。 今、落ち着かないと、赤ん坊が苦しいんだ。 ゆっくり息を吸って… 赤ん坊に酸素を送ってやらないとな」 琉生は、ユキを落ち着かせるために、ユキの頭をゆっくり撫でて、額にキスをする。 その時、医師が入って来て、助産師から報告を受ける。 モニターや、胎児心拍、ユキの様子を見て、医師は琉生を見た。 「ご主人に、お話が。 こちらへ、どうぞ」 琉生は、ユキを見る。 ユキ「どこに行くの?」 琉生「話をしてくるだけだ。すぐ戻る」 ユキ「何の話?」 ユキの目から涙が溢れた。 琉生「大丈夫だ。心配しなくていい」 医師の後に続こうとする琉生の手を、ユキは掴んだ。 琉生「ユキ…」 ユキ「諦めたくない… 赤ちゃんだけは、助けて… 私は、いっぱい生きたから、だから…」 琉生は分娩台に乗ったままのユキを抱き締めた。 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加