続編

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しばらくの沈黙の後、琉生は顔を上げた。 琉生「万が一…、どちらかを選ばなければならない時は…ユキを優先させて下さい」 苦渋の決断だった。 蒼井は、琉生の肩を叩いた。 医師「分かりました。 では、帝王切開の準備が整うまで、奥さんの傍でお待ちください」 蒼井「僕は待ち合いにいるよ」 琉生「あぁ」 琉生は、自分の手で顔を拭うと、自分の両頬を叩いた。 そして、微笑みながら、ユキの傍に戻る。 琉生「ユキ」 うとうとしていたユキは、ゆっくり目を開けた。 ユキ「琉生…。先生は何て言ってたの?」 琉生「ユキと赤ん坊、両方助けるために、帝王切開にするって」 ユキ「お腹…切るんだ」 琉生「麻酔も使うし、痛くないはずだ」 ユキ「赤ちゃん、苦しいの?」 琉生「今はな。 だから、早く出してやろう」 ユキ「…分かった」 琉生「ユキ」 ユキ「ん?」 琉生「俺の未来は、今も変わらない。 お前と赤ん坊と俺の笑い声で溢れてる」 ユキ「うん…。そうだね」 琉生は、ユキの額にキスをする。 ユキ「ねぇ、琉生」 琉生「ん?」 ユキ「ずっとずっと、愛してるからね」 琉生は、思わず涙しそうになりながら微笑んだ。 琉生「あぁ」 医師「では、準備が整いましたので、待ち合いでお待ちください」 琉生「はい」 琉生は、深々と頭を下げる。 琉生「先生、どうか、宜しくお願いします」 .
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