続編

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授乳後、しばらくしてから、ユキは沐浴の準備を始める。 ユキ「みんなが来ちゃうと、沐浴してられないから、今のうちに入れちゃおうかと思って」 琉生「確かにそうだな。 ベビーバスを買ってあるから、準備してくるよ」 ユキ「うん。お願い」 琉生「ところで、誰が入れるんだ?」 ユキ「一応、教えてもらったけど、まだ不安だから、一緒に入れよう?」 ところが いざ入れようとすると、赤ん坊は大泣き。 寒いのかと思って、ベビーバスに、急いで身体を沈めると、さらに激しく泣いてしまう。 そんな赤ん坊に、二人はあたふた… 翔「大丈夫ですか?」 声がして、振り返ると、翔が赤ん坊を覗き込んでいた。 ユキ「翔さん。 騒がしくて、ごめんなさい。 泣き止まなくて」 翔は、微笑むと、裾と袖を捲りながら、浴室に入ってくる。 翔「失礼します」 翔は、ガーゼを赤ちゃんの身体に置いて、足から静かにベビーバスに沈めていく。 両耳を押さえながら、赤ちゃんの首まで湯に浸かった頃には、すっかり泣き止んでいた。 ユキ「すごい…」 翔「執事の学校の時以来ですが、うまくいきました」 ユキ「おかしいな、私も習ってるはずなのに」 ユキは肩をすくめて笑った。 翔「あとは、ガーゼで顔を拭って、頭を洗って、身体を洗って終わりです」 ユキ「確か、全部、ベビーバスの中でやるんですよね?」 翔「そうです。 こちらに、新しいお湯と、ガーゼがありますから、適宜使って下さい。 最後に、かけ湯を忘れずに」 ユキ「そうでした!」 二人のやり取りを、琉生は面白くなさそうに眺めている。 翔「というわけで、私はキッチンの鍋が気掛かりです。 お父様、バトンタッチをお願い出来ますか?」 琉生「へ!?俺…?」 ユキ「この子のお父様は、琉生しかいないでしょ?」 琉生「い、いや、俺はまだ…」 翔「多少、泣くかも知れませんが、ひるむことなく行いましょう。 はい、では」 琉生は、おぼつかない手付きで、湯に浸かったままの赤ちゃんを受け取った。 翔「では、何かございましたら、お呼びください」 翔は微笑むと、浴室を後にした。 .
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