親睦会

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思えば、初めて外で月島が働くところを見たかも。 偉い地位を持ってるのに、あんなにぺこぺこしちゃって。 信用も愛も、形のない見えないもの。 そんなものを何で、そんなに必死に守ろうとするの? ユキは、溜め息をつく。 ユキ「飲むしかないか」 ユキは、シャンパンを取りに向かう。 シャンパンテーブルの回りには、人が集まっていた。 ユキは、シャンパングラスを手に取る。 すると、すぐ後ろでグラスの割れる音と、女性の悲鳴が響く。 振り返ってみると、シャンパングラスが床に落ちて割れている。 周囲にいた人達に、シャンパンがかかってしまったようだ。 そこへ、オーナーが飛んで来る。 「どうしました!?」 「シャンパンが落ちたみたい」 一瞬、騒然とする場で、オーナーはナフキンで床を拭き始める。 月島も騒ぎに気付いた。 オーナーは、ユキに向かって言う。 「何やってる、あなたも拭きなさい」 ユキ「え?」 「あなたは、メイドでしょう?」 その場に居合わせた人達が、小声で囁き合う。 「メイド?」 「どういうこと?」 「何で、メイドが私達と同じように着飾ってるの?」 「グラスを落としたのも、もしかして…」 ユキは、拳を握る。 オーナーは、ユキにナフキンを渡す。 「早く!」 ユキ「私はっ…」 ユキの脳裏に月島の姿がよぎる。 個人情報が流れてしまった時の月島の表情 朝早くから、夜中まで対応に尽くした月島 信じていた部下に裏切られて、傷付いた表情 さっき言ってた、「今日は、信頼を取り戻す会だ」 ユキは、目をつむる。 .
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