親睦会

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ユキは、オーナーから差し出されたナフキンを取ると、しゃがんで、割れたグラスと、 こぼれたシャンパンの処理を始める。 周りからは、クスクスと笑い声がしていた。 ユキが割れたグラスに手を伸ばすと、鋭利な破片は、ユキの指先を傷付ける。 うっすらと滲む血に、見向きもせず、割れたグラスを拾おうと、再び手を伸ばす。 ユキ「っ!?」 その手を力強く押さえられ、ユキは顔を上げた。 月島「何やってる?」 ユキ「何って、見て分か…」 ユキは、取り巻きたちがいることに気付き、営業スマイルを向けた。 ユキ「シャンパンが落ちてしまったようで、皆様のご迷惑にならないように…」 月島「何故、お前がそんなことを?」 月島の表情は、怒っているように見えた。 月島は、オーナーに向き直る。 月島「オーナー、彼女は私のパートナーだと知っているだろ?」 オーナー「も、申し訳ありません。メイドだとお聞きしたものですから」 月島「普段はメイドでも、今は違う。 これは、僕に対しての侮辱に値する」 オーナー「申し訳ありません! 月島様のお連れ様が、シャンパングラスを落としたようでしたので…」 反論しようとする月島をユキは止める。 ユキ「私は大丈夫です。 少し、アルコールをお召しになりすぎているようですわ。 風に当たりに参りませんか?」 月島は、ユキを見る。 月島「そうしよう…」 月島は、ユキの手を取ると、裏庭へと歩き出した。 ホテルの裏庭は、数々の花が咲き乱れ、月夜に映えている。 そのキレイさとは裏腹に、月島は怒った表情で切り出した。 月島「お前、俺のパートナーという自覚あんのか?」 ユキ「しょうがないでしょ!」 月島「大体、シャンパンなんか柄に合わないものを飲もうとするから、グラスを落とすんだ」 ユキ「!」 こんなセリフ、聞き飽きてる… もっとヒドイ言葉を投げつけられたことだってある… なのに 何で こんなに、突き刺さる… .
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