親睦会

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ユキが無言でいると、月島がユキのドレスの裾に気付く。 月島「お前、後ろが濡れてる」 ユキ「シャンパンよ。気にしないで」 月島は、ポケットから、ハンカチを出そうとしていた手を止める。 ユキ「何?」 月島「シャンパンを落としたのは、お前じゃなかったのか?」 ユキ「?」 月島「お前が落としたなら、前の裾が濡れるはずだ」 ユキ「そ、それもそうね。 じゃあ、気付かないうちに、何かで濡らしたんだわ」 月島は、ハンカチを取り出すと、ユキの傍にしゃがんで、ドレスの裾を拭く。 月島「…悪かった」 ユキを見上げる月島の視線から逃げるように、ユキは顔をそらす。 ユキ「だから、これは…」 月島「お前、もっと器用な生き方、出来ないか?」 ユキは高笑う。 ユキ「何それ? 割と器用に生きてる方だと思うけど?」 月島「茶化すな」 月島の真剣な眼差しに、ユキは話をそらす。 ユキ「戻らなくていいの?主催者でしょ?」 月島は溜め息をつく。 月島「そうだな… ユキ、居づらかったら、帰っててもいいぞ。 途中で帰っても、今日の割増料金も払う」 ユキ「馬鹿にしないで。 もらう分はちゃんと働くわよ」 月島「そうか」 月島はユキの手を取ると、しっかり握った。 そして、中へと戻る。 .
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