序章

3/10

74人が本棚に入れています
本棚に追加
/207ページ
ユキは、蒼井に連れて来られ、月島の前に立っていた。 連れて来た蒼井は、玄関で月島の執事にユキを託すと、帰って行った。 月島「はっきり言って、メイドは足りてる。 蒼井に強引に頼まれたから、お前はここにいるわけだ。 名前は?」 ユキは、面白くなさそうに答える。 ユキ「ユキです」 月島「履歴書くらいは持って来たんだろ?」 ユキは、月島の前に封筒を置く。 月島は履歴書に目を通すと、ゴミ箱に捨てた。 月島「俺に嘘をつくのは、賢くない。 お前は、中卒で高校には行ってない」 ユキ「…それで?」 月島「問題となるのが、補導歴の多さと少年院に入ってたことか…」 ユキ「さすが」 月島「俺をなめるな。 いくらでも、調べられる」 ユキ「で、私をどうするつもり?」 月島は机に両肘を付くと、手を組んだ上に顔を乗せる。 月島「お前次第だ。 まだ若いからな。水商売に売ってもいい。 肌を出すのが嫌なら、キャバ嬢でも」 月島は足を組む。 そして、真っ直ぐにユキを見た。 月島「もしくは、足を洗いたいなら、ここでメイドでも」 ユキ「今、言った中で、一番、お金になるのは?」 月島「月島家で働くより、いい給料の仕事なんかあるわけない」 ユキ「なら、それにするわ」 月島「金に見合った働きはしてもらう」 ユキ「大丈夫よ。こんなとこ、いつでも逃げ出せる」 月島は面白そうに、口の端で微笑んだ。 月島「面白い。 ここでメイドをしてもらうには、条件がある」 ユキ「何?」 月島「1つ、俺への隠し事はしない。 2つ、素直に謝る」 ユキは鼻で笑う。 ユキ「無理」 月島「ま、やってみろ」 月島は、お付きの執事を呼ぶ。 月島「彼女を用意した部屋に案内してくれ」 それだけ言うと、月島は仕事モードに入った。 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加