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何度も鳴る携帯の呼び出し音に、ユキはうっすらと目を開ける。 ユキ「っ!!」 目を開けて、身体を動かそうとすると、身体中に激痛が走る。 携帯は… ユキ「そっか…」 部屋の入口に置きっぱなしだ… あの男は、最中に邪魔されるのを極端に嫌がるから、いつも部屋に入ってすぐのところに置いておくんだった… 帰る時も忘れないし… それが今は仇になるなんて。 ユキは、入口に続くフローリングで入口の方を見る。 そして、また呼び出し音が鳴る。 ユキは、静かに目を閉じた。 それからも、何度か呼び出し音は鳴り続け… ドンドンドン! ドンドンドン! 部屋のドアを叩く音に、ユキは目を開ける。 月島「ユキ!開けろ!」 え…? 何で… 月島「ユキ!!助けてやるから!」 ドンドンドン! 何で… 月島「俺が助けてやるから、開けろ!」 何で… ユキの目に涙が浮かぶ。 月島「お前、1人じゃ駄目なんだろ!? 今の状況、変えたくても、変えらんないんだろ!? だったら、俺が変えてやる! だから、開けろ!」 ドンドンドン! ユキの目から涙が溢れる。 何で… ユキは、力を振り絞って、這うように入口へ向かった。 これが最後の力でも構わない。 私の最期に会いに来た男の顔くらい… 見てから死ぬのも悪くない… ようやく、入口に辿り着いたユキは、最後の力を振り絞り、部屋のドアを開けた。 .
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