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ユキが目を開けると、見慣れた天井が見えた。 回りを見渡すと、自分の部屋で、腕には点滴が入っている。 ユキ「何これ?」 ユキが唖然としていると、部屋のドアが開き、書類を手にした月島が入って来た。 月島は、目覚めたユキを見て、驚いた表情をしたが、嬉しそうに鼻で笑った。 ユキ「この点滴、何?」 月島「開口一番それか。 お前、お礼とか、お詫びとかっていう言葉を知らないのか?」 ユキ「知らない」 月島「だろうな」 ユキは時計を見る。 ユキ「そろそろ、昼御飯を作るわ」 月島「笑わせんな」 ユキ「私、仕事には穴を開けたことないの」 月島「お前のサイドビジネスとやらをやめてもらう」 ユキは笑う。 ユキ「何度も言わせないで。 プライベートに口は出さない…」 月島「お前は、丸二日寝込んでたんだぞ。 仕事に穴を開けない? 丸二日間、穴を開けてんだよ。 もう、プライベートとは言わせないからな。 サイドビジネスが本業に影響を及ぼしたんだ。 絶対にやめてもらう」 ユキ「二日…?まさか」 月島「熱は下がらない、意識は戻らない、揚げ句の果てには、医者に栄養失調だろうと言われ、点滴の始末。 これが丸二日も続いたんだ」 ユキは絶句する。 月島「驚いたか? 俺も驚いたよ。さんざん稼いでいるくせに、栄養失調だと? お前、稼いだ金を何に使ってんだ?」 ユキ「ヤブ医者よ。 おかげで、毎日高いもの食べて、充実してるわ」 月島は、溜め息をつく。 月島「ようやく、お前の嘘が見破れるようになってきたよ。 お前は、嘘つく時…」 月島は、ユキを見つめる。 ユキ「何よ?」 月島「すげぇ、悲しく笑う」 .
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