6/10

74人が本棚に入れています
本棚に追加
/207ページ
体温計を見る月島が目に入る。 月島「また上がってきたか…。つらいか?」 優しい表情の月島をユキは見つめる。 こんな優しい表情するんだ… ユキ「…これも夢?」 月島「馬鹿か。熱でやられてる。 今、解熱剤持って来てやるから待ってろ」 ユキ「いいよ、別に…」 月島「いいから」 月島は部屋を出て行く。 夢なのか、現実なのか、はっきりせず、ぼーっとしていると、月島が戻って来る。 月島「解熱剤だ。飲め」 ユキは、身体を起こす。 ユキ「っ!!」 全身の痛みに耐えながら、何とか起きようとする。 月島「ほら」 月島がユキを支えながら起こす。 ユキは、薬を受け取りながら呟いた。 ユキ「やっぱり、夢ね。 こんなに優しいわけない」 月島「バカ。早く飲め」 ユキは薬を飲んだ。 月島「優しくしてやったんだから、サイドビジネスを辞めると言え」 ユキ「またその話?しつこいね」 月島「こっちは迷惑してんだ」 ユキ「金持ちから、金をもらって、何が悪いの? 自分の身体を自分が売って、何が悪いの?」 月島「金持ちの金は、お前にやるためにあるわけじゃない。 お前の身体は傷付けるためにあるわけじゃない」 ユキ「じゃあ、何のため?」 月島「金は、そいつが頑張って、周りが認めた証。 お前の身体は、お前が生きるためにある」 ユキ「だから、生きるために稼いでるの。 この身体で」 月島「どうせ生きるなら、幸せに生きろ」 ユキ「私達、理解しあえないね」 月島「いずれ、理解してもらう」 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加