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解熱剤を飲んで、静かに寝息をたてるユキを見てから、月島は自分の部屋に戻る。 自分の部屋の窓から、電気の消えた、ユキの部屋を見た。 執事「失礼します」 ティーセットを持った執事が入って来る。 月島「ありがとう」 執事の手が止まる。 月島「どうした?」 執事「いえ。失礼致しました」 執事は紅茶をセットしていく。 月島「ユキは、しばらく休ませる」 執事「かしこまりました。 ご主人様も、本日はお休み下さい。 ユキのことは、あとは私が引き継ぎます」 月島「なぜだ?」 執事「ずっと、ユキに付きっきりで、お疲れかと」 月島「解熱剤を飲んだばかりだ。 また少ししたら、熱を測りに行く」 執事「かしこまりました。測って、ご報告致します」 月島「いや、俺が測りに行く」 執事は微笑む。 月島「何だ?」 執事「いえ。 ご主人様、お変わりになられたと思いまして」 月島「変わった?俺が?」 執事「はい。 以前より、表情豊かになられたといいますか、優しくなられたといいますか、 まるで、恋をされてるかのような…」 月島「恋?」 月島は驚いた表情をしている。 執事「失礼致しました。 また、何かご用があれば、お呼びください」 執事は部屋を出て行く。 恋? 俺が? 誰に? 月島は、再び、ユキの部屋を見る。 馬鹿な。 ありえない。 .
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