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翌朝、月島は朝食のため、ダイニングルームに行く。
朝食が終わった頃に、またユキの熱を測りにでも行くか、と思案しながら、ドアを開ける。
ユキ「おはようございます。ご主人様」
月島は足を止める。
月島「お前には、休みをやったはずだが?」
ユキ「はい。十分休ませて頂きました」
月島「病人に働かれても迷惑だ。
完全に治るまで下がってろ」
ユキ「完全に治りました」
月島「嘘をつくな」
ユキ「嘘ではありません」
二人のやり取りを呆れたように見ていた執事は、前菜を出す。
執事「お食事を」
月島は、咳払いをすると、テーブルにつく。
ユキは、普通に仕事をこなし、つらそうな素振りは見せない。
月島は、朝食を取りながら、ユキを目で追っていた。
月島「今日は、この後、会社に顔出す」
執事「かしこまりました」
月島は、朝食を済ますと出掛けて行った。
執事とユキは、後片付けをする。
執事「最初、すぐに辞めるだろうと思っていたが、根性だけはあるんだな」
ユキ「じゃなきゃ、生きて来れなかったからね」
執事「ご主人様の意向も汲み取って差し上げろ。
お前が寝込んでいる間、付きっきりで看病してたんだ。夜中も、朝方も」
ユキ「頼んでないわ」
執事は鼻で笑うと、厨房へ去った。
ユキは、テーブルを拭く手を止めて、さっきまで月島が座っていた席を見た。
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