序章

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お付きの執事に通された部屋は立派な部屋だった。 部屋の中に、トイレがあり、お風呂もあった。 ユキは、少ない荷物をベッドの上に投げ置く。 執事は、ユキに分厚い本を渡す。 「しっかり目を通すように。 月島家の家系図から、歴史、決まりごとまで全て書いてある」 ユキは笑う。 ユキ「それ必要?」 「恥を知れ」 それだけ言うと、執事は出て行った。 一方… 月島は書斎で仕事の手を止めて、再びユキの身辺調査の報告書に目を通していた。 月島「窃盗、売春、傷害、か」 その時、書斎にノックの音が響く。 執事「失礼いたします。 お茶をお持ち致しました」 月島「あぁ」 執事は、月島の横で紅茶を淹れ、机の上に置く。 執事「本当に、あの娘を雇うので?」 月島は報告書を置くと、執事に目を移す。 月島「俺に意見とは面白い」 執事「とんでもございません。ただ…」 月島「何だ?」 執事「補導歴に、少年院。月島家で働く者としては如何かと」 月島「…確かにな」 執事「何故、あの娘の肩を持たれるのかと。 これまでのケースでは、すぐに夜の世界へ送り出していたように思われます」 月島「そのくらいにしとけ。 俺だって、甘やかす気はない。今日の夕食から出させろ」 執事「かしこまりました」 執事は出て行く。 月島は、もう一度、報告書に目を戻す。 窃盗、売春動機:兄の生計を補助するため 傷害動機:第三者による、友人に対する暴言に対し、逆上 .
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