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その夜、月島は溜め息をつきながら、テーブルにつく。
ユキが食前酒を出す。
月島は、いつもと同じように、手にする。
月島「あっち!」
ユキ「あ、申し訳ありません。
そちらは、緑茶です」
涼しげな表情のユキを月島は睨む。
月島「お前、わざとだろ?
大体、何で緑茶なんだ?」
月島の前に執事が丼を置く。
執事「本日は、ユキの提案で丼に致しました。
月島家の規約には反するのですが…」
月島「お前…」
月島は、ユキを見る。
ユキは、わざと目を合わさないように前を向いていた。
月島「金は後で払う」
ユキ「時間内ですので。不要です。
…ほんのお礼よ」
月島は嬉しそうに微笑むと、丼を頬張った。
月島は、その後、もう一杯食べると、満足したように、席を立った。
月島は部屋に戻ろうと、ダイニングルームのドアを開けながら、片付けをするユキの背中に言った。
「ユキ。
お前が、うちのメイドで良かった」
ユキは、振り返りも、返事もしなかったが、優しく微笑んでいた。
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