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ユキと月島の距離が少しずつ近付いていく。
そんな空気を感じていた。
なのに
月島は気付いていた。
ユキは、1日1回、姿を消す。
どこに行ってるのか、突き止めることが出来ない。
月島は、この間のカフェで行き交う人々を見ていた。
オフィスやショッピングモール、総合病院が建ち並ぶ、この辺りは人で溢れかえっている。
月島「ん?」
月島のカップを持つ手が止まる。
こんなに大勢の人混みの中でも、見付けることが出来る…
月島「ユキ?」
ユキは、総合病院の入口から出て来た。
少し離れた月島には、気付かずに歩いていく。
月島「病院?」
身体の傷は治ったはずだ。
その後、呼ばれてないのか、断っているのか、夜中に出ることもない。
だから、新しい傷があるわけない。
じゃあ、何だ?
どこか、身体の具合が悪いところでもあるのか?
月島は、釈然としないまま、ユキを見ていた。
ユキは、月島に最後まで気付かずに去って行った。
月島は考えるような仕草をする。
それから数日間、月島はユキに気付かれないように、ユキが家を空ける時間を調べた。
大抵、昼前か午後で食材の買い出しついでのことが多い。
そして
月島は、ある日、総合病院の近くで身を隠していた。
ユキを待つ。
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