ユキの秘密

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月島は、面会名簿に書いてあった病室と名前を訪ねる。 男性の大部屋。 このカーテンの向こう側に、ユキが毎日通う相手がいる。 カーテンの中からは、機械的な音が聞こえる。 ユキとの関係を聞くのか? いや 間違えたフリして、顔だけ見るのも悪くない。 月島は、意を決して、声をかける。 月島「失礼します」 ベッドにいる人を見て、月島は止まる。 月島「!!」 そこには、人工呼吸器に繋がれた、若い男性がいた。 様々な点滴がされ、色々な医療機械がある。 身体には、点滴以外にも管が繋がっている。 モニターには、色々な数値が表示されていた。 意識はない。 見るからに、重症だった。 月島は、言葉を失う。 そこへ、看護師が検温にやって来る。 看護師「あら?お知り合いの方ですか?」 月島「え?あ、いや…。間違えてしまったようで…」 看護師「そうですか」 月島「失礼しました」 月島は、部屋を出て行こうとする。 その時、月島の背中に、同室者の患者の声が聞こえる。 「看護師さん、その人、まだ個室に移んないの!? 機械の音が耳障りで寝れねぇよ! なんか、機械もピーピー鳴ることも、しょっちゅうじゃんよ!」 看護師「ごめんなさいね…」 「個室ねぇの?」 看護師「個室は空いてるんだけど…お金かかるからねぇ」 「金ねぇのか、この人んち」 看護師「妹さん一人だけだから」 月島「!!」 .
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