ユキの秘密

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妹? ユキのことか? てことは、ユキの兄!? あいつには、確か身寄りはなかったはず… いや、ちょっと待て… 確か、ユキの身辺調査をした時、窃盗の動機は… 「兄の生計を補助するため」 月島の頭の中に、ユキとの会話が甦る。 「この世の中、金が全てでしょ? 莫大な金がなきゃ、生きることだって出来ない人 もいるの」 「おかげで、毎日高いもの食べて、充実してるわ」 「言ったはずよ。生きるためには、お金がいるの」 「金の亡者だから」 「ふざけてなんかないわ。 こっちは、生きるために身体張ってんのよ」 「だから、生きるために稼いでるの。この身体で」 そうか… あいつが言っていた「生きるため」は、ユキのことではなかった… ユキの兄のことだったのか。 月島は、ふらつきながら、病室を後にする。 階段を降り行く時、待合室の声が聞こえて、月島は足を止める。 「援交なんて、みんなしてるし」 ユキ「やめときな」 「何でよ?」 ユキ「本当に好きな奴が出来た時、愛される資格なくなんじゃん」 「何それ!? 今までは、賛成派だったくせに!」 ユキ「賛成なんかしてないし。 ただ、その身体は生きるためにあんだってさ。 変態ジジイに差し出されるためにあるわけじゃないってこと」 「ふーん。なんか、変わったね」 ユキ「そう? よし!終わり!また塗ってやるよ」 「サンキュ」 .
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