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月島は、仕事の書類を机の上に出したまま、ぼーっとしていた。
ぼーっとしている暇はない。
手を進めるんだ。
頭を働かせろ。
月島は、溜め息をつく。
そして、書類を閉じた。
目を閉じると、浮かんでくるのは、今までユキが発した言葉の数々と表情。
そして、ユキの兄の姿。
このままでは、埒があかない。
月島は、電話の受話器を上げた。
呼び出し音が鳴る中、ユキの言葉がよぎる。
「プライベートには、口を出さない約束よ」
そして、電話先の相手が出る。
月島「そちらの院長と話がしたい」
身分を伝えるが、院長は電話口には出ない。
まあ、無理もないだろう。
あれだけの病院だ。
「院長は、お会いにはなるそうですが、如何が致しますか?」
なるほど。
その目で、俺を確かめてから、というわけか。
月島「都合は合わせます。いつなら会えますか?」
こうして、月島は動き始めた。
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