ユキの秘密

6/10

74人が本棚に入れています
本棚に追加
/207ページ
月島は、仕事の書類を机の上に出したまま、ぼーっとしていた。 ぼーっとしている暇はない。 手を進めるんだ。 頭を働かせろ。 月島は、溜め息をつく。 そして、書類を閉じた。 目を閉じると、浮かんでくるのは、今までユキが発した言葉の数々と表情。 そして、ユキの兄の姿。 このままでは、埒があかない。 月島は、電話の受話器を上げた。 呼び出し音が鳴る中、ユキの言葉がよぎる。 「プライベートには、口を出さない約束よ」 そして、電話先の相手が出る。 月島「そちらの院長と話がしたい」 身分を伝えるが、院長は電話口には出ない。 まあ、無理もないだろう。 あれだけの病院だ。 「院長は、お会いにはなるそうですが、如何が致しますか?」 なるほど。 その目で、俺を確かめてから、というわけか。 月島「都合は合わせます。いつなら会えますか?」 こうして、月島は動き始めた。 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加