ユキの秘密

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「蒼井から、クルージングパーティーとやらに誘われたが、行くか?」 ある夜、月島はユキの部屋でハンモックに揺られながら、聞いた。 ユキ「何で私に聞くのよ?行ってくればいいじゃない」 月島「蒼井が、みんなで仲直りをしたいから、ユキを連れて来いと。 お前、何やったんだ?」 ユキ「相変わらず、平和主義者ね。 別に。媚薬を手に入れただけ」 月島「一体、どっから手に入るんだ、そんなもん」 ユキ「あの社長に言えば、何でもくれるわ。 私に飲ますのも好きだったし、自分が飲むのも…」 月島「いい加減にしろ」 ユキ「その自分で聞いといて、キレるの、何とかなんない?」 月島「ならん」 月島は、ハンモックから降りると、伸びをする。 月島「相変わらず、安定感のないハンモックだな」 ユキは、鼻で笑う。 月島「来週の日曜日だ。忘れるなよ」 月島は、出て行った。 ユキは、溜め息をつくと、まだ微かに揺れている、ハンモックに乗る。 あの日の… 血の臭い。 泣き顔の咲。 苦しそうな翔。 真剣な蒼井の顔。 仲直り? 出来るわけないじゃない。 世の中、そんなに甘くないわ。 そのまま、警察に連れて行かれてもおかしくないくらいよ。 …でも お兄ちゃんの医療費も、もう心配しなくていいんだし、警察に連れて行かれてもいいかも。 それで、償えるなら… 仲直りって言えるくらいなんだから、翔さんの怪我は大丈夫なんだろうな… ユキは、うとうとと、まどろんだ。 .
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