仲直りのクルージング

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次の日曜日、結局、ユキは蒼井家のクルーザーに、メイドとして、同乗していた。 メンバーは、咲、翔、蒼井、真央、達也。 ユキは、クルーザーの厨房で、シャンパンの準備をしている。 そこへ、翔が入って来る。 翔「シャンパンの準備は、どうですか?」 ユキ「翔さん…」 ユキを見て、微笑みながら、翔は腕を捲る。 翔「お手伝い致します」 ユキ「あ…はい」 ユキも手を戻そうとすると、翔の腕が目に入る。 あの日… 割れたワイングラスで、自分の腕を傷付けた。 咲を守るために。 ユキは、手を止める。 ユキ「翔さん。私、今日は皆様にお詫びをと思って来たんです」 翔「私は気にしていませんよ」 ユキ「まさか!腕の傷、跡に残ってしまってるし…」 翔「何を勘違いしてるんです? この腕は、私が自分でやったものです。 あなたが謝ることではありませんよ」 ユキ「…でも、力づくで、翔さんを手に」 俯くユキを見ながら、翔は笑う。 翔「でも、手に入らなかったでしょう? それでいいじゃないですか。 さ、シャンパンを皆様にお持ちしましょう」 シャンパンを持って、出て行こうとする翔の背中に、ユキは言う。 ユキ「待って下さい!」 翔が振り向く。 ユキ「お願いです。 ちゃんと、謝らせて下さい」 翔は、困ったように微笑むと、シャンパンを置いて、ユキに向き合った。 翔「では、どうぞ」 ユキ「…苦しい思い、痛い思いをさせてしまって、すみませんでした」 翔「はい」 翔は頭を下げたユキの肩をポンポンと叩く。 翔「では、参りましょう」 .
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