別れ

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別れ

病院の廊下を二人の走る足音が響く。 飛び込んだ個室の病室。 そこには、医師と看護師が心臓マッサージをしたり、薬を投与したり慌ただしい光景が広がっていた。 ユキ「お兄ちゃん!!」 ユキは、医師や看護師を掻き分けて、兄に抱き付く。 ユキ「お兄ちゃん!?しっかりして!」 医師「離れて!」 医師が電気ショックを与える。 みんながモニターを見つめる。 しかし、波形は戻らない。 医師「もう一度!離れて!」 ユキの兄の身体は小さく飛び上がるが、やはり戻らない。 ユキ「いやあ!お兄ちゃん!逝かないで!一人にしないで!」 医師「心マ再開!」 看護師が心臓マッサージをする。 ユキ「お兄ちゃん!!やだよ!!起きて!!」 月島は、取り乱すユキを抱きしめる。 月島「ユキ」 ユキ「お兄ちゃん!!」 月島「ユキ」 ユキ「離して!離してよ!」 月島「離さない」 ユキは、月島の腕の中で暴れるが、月島は、離さなかった。 そして… 医師「ユキさん。我々も全力を尽くしました。…しかし、一時間が経過しました。 これ以上続けても、蘇生は望めません」 ユキは、月島の腕の中で、医師の話を聞きながら、首を横に振る。 ユキ「やだ…」 医師「お兄さんは、ユキさんに応えるかのように、今まで頑張ってくれました」 ユキ「やだよ…」 月島「ユキ。見送ってやらなきゃ…」 ユキ「出来ない。本当に出来ない」 月島は、医師に尋ねる。 月島「少しの間、3人きりにさせてもらえませんか?」 .
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