別れ

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月島「今日も食べてないのか?」 ハンモックに揺られるユキに、月島は聞く。 ユキ「さぁ…。どうだったかしら」 ユキは興味なさそうに答える。 月島「前代未聞だ」 ユキ「何が?」 月島は、ユキの前に丼を出す。 月島「俺が料理をするなんて」 ユキは、チラっと丼を見る。 前に、月島が食欲ない時に、ユキが作ってあげた丼によく似てた。 ユキ「料理って。 刻んで乗せただけじゃん」 月島「執事が落ち着かなさそうだったぞ」 ユキ「仕事増やされたら、たまんないからね」 月島「減らず口は言えるようになったか」 ユキ「…」 月島「遠慮せずに食え」 ユキ「いらない。 そもそも、それは、あんたが好きなもんじゃん」 月島「じゃあ、何が食いたい?」 月島は、バルコニーにあるテーブルに丼を置く。 月島「何でも食わしてやる」 ユキ「何もいらない」 月島は、溜め息をつくと、丼をスプーンで掬う。 月島「ほら」 そして、ユキの口元へ持って行く。 ユキ「何?」 月島「食わしてやる」 ユキ「バカにしてんの?いらないってば」 月島「いいから、一口食ってみろって」 ユキは溜め息をつくと、怪訝な表情をしながら、一口食べた。 月島「うまいだろ?」 ユキ「何これ!?イカがちゃんと切れてないじゃん!」 月島「細かいことは気にするな」 ユキ「ちょっと、丼を持って来て」 月島は、ユキに丼を渡す。 ユキは、スプーンで丼を探る。 ユキ「ほとんど切れてないじゃん。 ここまで来ると、芸術だね」 ユキは、薄皮一枚で繋がるイカを持ち上げて見ながら言った。 月島「今、切って来るから待ってろ」 ユキから丼を取り上げようとすると、ユキはかわす。 ユキ「仕事が増えるから、やめて」 ユキは、溜め息をつくと、ハンモックの上に、あぐらをかいて座る。 .
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