離れる心 ~月島の想い~

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それからも、そんな時間を大切にして、ユキとの時間を日々過ごした。 なのに… 月島「どこへ行く?」 月島は、夜中に家を抜け出そうとするユキの背後から、呼び止めた。 振り返るユキは、また露出の多い派手な格好をしている。 ユキ「どこだっていいでしょ? 私にだって、プライベートな時間はあるの」 月島「もう、その格好は必要ないはずだ」 ユキ「口出さない約束忘れたの?」 月島「何のために行く?」 ユキ「いい加減にして!」 月島「質問に答えろ!」 ユキは、月島を涙目で睨んでから、無視して背を向けて歩き出す。 月島は、ユキの腕を掴む。 月島「行かせると思ってんのか?」 ユキ「約束守ってよ! プライベートなことには口出さないで!」 月島「人のこと言えんのか!? お前が、ここに来た日に言ったはずだ。 俺に隠し事をするなと! 何故、お前の兄貴のことを黙ってた!? お前が早く言ってたら、いい治療が受けれてたかもしれないんだぞ!」 ユキ「…そんなこと …そんなこと、誰が頼んだよ!? 個室のことだって!治療費のことだって! 余計なことを勝手にしたのは、あんたでしょ!? 言ってたとしたって、あんたの同情なんかいらない!」 月島は、突然、壁を殴る。 鈍い音が廊下に響いた。 月島「せっかく、ここまで来たのに…」 少しずつ近付いて、やっとここまで来たのに。 そうやって離れて行くのか… いいだろう… なら… ユキは鼻で笑う。 ユキ「ここまで来た?何のこと」 月島は、自嘲するように、でも静かに口を開いた。 月島「いくらだ?」 ユキは、月島を見たまま、止まる。 .
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