離れる心 ~月島の想い~

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月島は、顔を上げてユキを見る。 ユキは涙目のまま、月島を見つめ返す。 月島は、ユキから視線を反らすと、そのままユキの背後に横になって、そのままユキを抱きしめた。 ユキ「ちょっ…」 月島「黙れ。 このまま、何もしない。ただ、このままでいい」 上半身裸同士の二人。 ユキは月島のベッドで後ろから抱きしめられたまま。 ユキは、枕元に落ちている小切手を取る。 ユキ「返す…」 月島「いらん」 ユキ「このままでいいから…。返す」 月島「一回出した金は引っ込めない」 ユキは溜め息をつく。 月島「お前、さっき言ったな」 ユキ「何を?」 月島「俺は、そんな奴じゃないって」 ユキ「…」 月島「お前も、そうだ。 お前も、そんな奴じゃない。 俺もお前を信じてる」 ユキ「あ…、あれは、ああ言えば、あんたがやめてくれるだろうと思って言っただけ。 私の策略に、あんたが、まんまとハマっただけだよ」 月島「そうか…」 月島は、そう言ったっきり黙っていた。 しばらくすると、ユキの耳元で、月島の寝息が聞こえる。 抜け出そうとすると、月島の抱きしめる腕に力が入り、抜け出せない。 もしかしたら、本気で抜け出そうとすれば、抜け出せるかもしれない。 でも、ユキは、そのまま目を閉じた。 .
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