繋がらなかった想い

5/9
前へ
/207ページ
次へ
月島がホテルのラウンジを出て行ってから、全身の力が抜けて、ユキは崩れる。 社長「ユキ。いい子だ」 崩れるユキの顔を見て、社長は不思議そうな顔をする。 社長「今まで、どんなに私に可愛がられても、涙一つこぼさずに相手をしてきたお前が、何を泣いてる?」 ユキは言われて、自分の頬に手を当てる。 本当だ…。 何で泣いてるの? これで自由になれたのに。 これでやっと… 社長「じゃあ、部屋に行こうか?」 社長は、ユキの肩に手を添える。 ユキ「触らないで」 社長の手が止まる。 ユキ「勘違いしないで。 もう、アンタの言いなりになんかならない」 社長「そんなこと言っていいのか!?」 突然、怒り出した社長にユキは鼻で笑う。 ユキ「見てたでしょ? 私はクビになったの。 アンタが私の写真をばらまいたところで、もう関係ない。 月島にとって、痛くも痒くもないのよ」 社長「お前はどうなんだ!?」 ユキ「もう、お金なんかいらない」 社長「あれだけ稼いでいた奴が、いらないだと?」 ユキ「もう守るものはないのよ? 自分一人分くらい、何とでもなる」 社長「今日、泊まる場所もないのにか!?」 ユキ「何を言われたって、アンタとも、二度と会わない」 社長「ふざけるな!」 社長はユキの頬を叩く。 ユキは自嘲するように笑う。 ユキ「人前で手を挙げるのは、やめた方がいいんじゃない?社長さん」 社長は、ユキの胸ぐらを掴む。 社長「このままで済むと思うなよ。 ウチのバックには、大きな組織がいるんだからな」 ユキ「離して。警察呼ぶわよ?」 社長「呼べるもんなら呼んでみろ。 お前の売春もバレるんだぞ」 ユキは高笑う。 ユキ「私も捕まると言いたいの? 私が捕まったって、誰も困らない。 かえって泊まる場所が出来て、好都合」 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加