繋がらなかった想い

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月島は、自分の部屋に入ると乱暴に扉を閉めた。 怒りが治まらない月島は、机の上の書類など全てを勢い任せに払い落とす。 物音に気付いた執事が慌てた様子で部屋に入って来た。 執事「ご主人様!いかがされました!? 落ち着いて下さい!」 月島「うるさい!」 執事は、月島の腕を押さえる。 月島「離せ!」 執事「なりません。 ご主人様の大事な書類でございます」 執事は、月島から目を離さなかった。 月島は、その目に負けるように、力なく言う。 月島「ユキを…クビにした」 二人の間に沈黙が流れる。 執事「左様ですか。かしこまりました」 月島は、鼻で笑うと、ソファに横になって 、額に腕を乗せた。 聞き分けのいい執事だ。 大抵、使用人ってのは、聞き分けがいい。 ご主人様に歯向かってくる使用人は、あいつくらいなもんだった。 ユキがいない。 自分でクビにしたんだ。 でも ユキがいないんだ… .
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