繋がらなかった想い

8/9
前へ
/207ページ
次へ
ユキが姿を消してから、1ヶ月が経つ。 月島は、自分の部屋でパソコンに向かいながら、仕事をしていた。 執事「お茶をお持ちしました」 月島「あぁ」 月島は手を休めて、紅茶に口を付ける。 ふと窓の外を見ると、ハンモックが目に入る。 執事は、月島の視線の先に気付く。 執事「少しの荷物ですが、ユキの荷物が起きっぱなしになっています。 片付けてしまった方がよろしいですね」 月島「いや。何かの拍子に取りに来るかもしれないから、そのままにしとけ」 執事「しかし、連絡もつかず、どこにいるのかも…」 月島「アイツのことだ。 どっかで、うまくやってるだろ」 あの社長と。 月島「それに、もし取りに来た時に、荷物がないと何言われるか分かったもんじゃない」 月島は、ユキが怒っている姿を思い浮かべ、ふっと笑う。 執事「近くにいるんでしょうか?」 月島「さあな。アイツには、さんざん金をやったから、どこにでも行けるだろうからな」 あの社長のことだ。 ユキをどこかに隠してる可能性もあるが… 少し考えてから、月島は目を伏せた。 月島「どっちにしろ、俺とはもう関係ない。 アイツは、アイツの幸せを生きてる」 その夜、月島は部屋で酒を飲む。 ユキが姿を消してから、毎晩。 知らないうちに眠りにつくまで飲む。 ほとんど、ベッドでは寝てない。 飲みながら、知らないうちに、ソファで寝てる。 中途半端に飲むと、ユキが見えるから、かなり早いペースで飲む。 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加