繋がらなかった想い

9/9
前へ
/207ページ
次へ
今日も、かなりのペースで飲んだはずなのに… また、見える。 手を伸ばせば、触れられそうだ。 ユキ「みっともない。ベッドで寝なさいよ」 月島「ほっとけ」 ユキ「あんなに寝心地のいいベッドがあるのに、何でわざわざ、ソファで寝るの? 金持ちって、可哀想ね」 月島「またそれか」 ユキ「いいから立って! 今日は、ベッドで寝てもらうわ」 ユキは、月島を引っ張る。 月島は、ふらつきながら立った。 立って、ユキを見つめると、ユキは顎でベッドを指す。 月島「触れたら、消えるんだろ?いつもみたいに…」 月島は、ユキに差し出した手を下ろす。 諦めたように、月島はベッドに横になった。 月島「ユキ」 月島「ユキ…」 月島が顔を上げると、ユキは消えていた。 月島は、顔を枕にうずめる。 翌朝。 月島の元へ、蒼井がやって来た。 蒼井「何か、お前、痩せた?」 月島「さあな」 蒼井は、周りを見渡す。 蒼井「ユキちゃんは?」 月島「あぁ、言ってなかったか」 蒼井「何を?」 月島「クビにしたんだ」 蒼井「はあ!?お前、人の預けもんを勝手に!」 月島「預けもん?取りに来るつもりもねぇのに、よく言うな」 蒼井「なるほど。 それか。お前の痩せた理由」 月島「別に、アイツ一人くらい、いなくなっても、俺は太りもしなきゃ、痩せもしない」 蒼井「どこ行っちゃったの?ユキちゃん」 月島「知るか。お気に入りの男の所だろ」 蒼井は、月島の机の上に、ユキの身辺調査の報告書が置いてあるのに気付く。 蒼井は、報告書を手にすると、目を通しながら言った。 蒼井「ユキちゃん、探してあげよっか? 僕、人探すの、すごい得意なんだよね~!」 月島「いらん」 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加