北海道 ~2人の想い ~

2/9
前へ
/207ページ
次へ
北海道に降り立つと、辺りは一面、雪景色だった。 奏「見事なもんだな」 榊「りおさんにも見せてあげたかったですね」 奏「あぁ。喜ぶだろうな」 二人が月島へと視線を移すと、月島は「雪月花」に宿泊の予約を入れている。 榊「ユキさんに、会えるでしょうか」 奏「会わすさ。絶対に」 雪月花は、空港から1時間ほどタクシーで走ったところにあった。 大きな門に、立派な和を基調とした旅館。 外見からして、高級感漂う旅館だった。 入口にタクシーが付けられると、従業員が並んで頭を下げている。 その中に、若い女性の姿はあるものの、ユキの姿は見えない。 フロントに入ると、女将が正座をして、微笑みながら、頭を下げる。 「遠いところをようこそおいで下さいました」 月島「先程、予約した月島だが」 「お待ちしておりました。 月島様に、大神様、皇様ですね。 こちらへ、どうぞ」 女将は、3人をエレベーターへと案内し、最上階の部屋の鍵を開ける。 女将「こちらが、当方のスイートルームでございます。 それぞれ、寝室がありますので、3人でも、ゆっくり、おくつろぎ頂けます」 奏と榊は顔を見合わせる。 奏「すまねぇが、女将。 もう1つ、部屋を用意してもらえないか?」 女将「もう1つ?」 月島「何故だ?」 奏「何で俺がお前と同じ部屋なんだよ。 俺は、ごめんだね」 榊「若は気がきくもので」 結局、もう一部屋の準備をする間、奏の部屋で待つ。 女将「お茶を淹れましょう」 お茶を淹れる女将に、月島は訊ねる。 月島「ここに、華村ユキという、仲居はいるか?」 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加