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女将「華村ユキ?
あぁ!ユキちゃん!
おりますよ。お知り合いですか?」
月島「前の雇い主なんだ」
女将「まあ、そうでしたか!
あの子も、懐かしがるんじゃないですか?」
月島「いや、まだ2ヶ月くらいしか経ってないからな…」
女将「呼んで差し上げたいところなんですが、今日は他のお部屋の担当で」
奏「何とか、月島の部屋の担当に変えられないか?」
女将「それはちょっと…」
月島「そこまでしなくても…」
奏「ここまで来てビビってんじゃねぇよ。
女将、何とかならないか?」
榊は、胸元から、封筒を出す。
そして、女将の前に置いた。
榊「お世話になりますので、ほんの心付けです」
女将「そんな!
今日は、ユキちゃんのところは、もうお客様が入られてしまっているので無理ですが、明日なら、変えられると思います」
榊「ありがとうございます」
榊の微笑みに、女将は照れたような顔をしながら退室した。
月島「明日、か…」
呟く月島に、煙草に火を付けながら、奏は返す。
奏「阿呆か。今日の仕事終わりを待って、会ってこい」
月島「…」
何て言えば…
ユキに、何て言うんだ。
自分から突き放しておいて。
突き放しておいて、やっぱり好きなんだと…?
そんな都合のいいことが…
奏「ちっ。…怖じ気づきやがって」
榊「初々しいじゃないですか」
夕食とお風呂が終わり、奏の部屋でお酒をつまむ。
奏「そろそろ終わる時間じゃねぇか?」
榊「そうですね。11時になりますからね」
奏「おら、行って来い!」
奏は、月島を追い出した。
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