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それからも、ユキの謎の行動は変わらず、夜中に派手な服装で出て行くことも度々だった。
しかし、仕事には絶対、穴を開けないユキだった。
月島の部屋の窓からは、ユキの部屋のバルコニーが見えた。
夜はバルコニーに反射する光で、ユキがいるのかいないのか、まだ起きてるのか、寝たのか、確認することが出来た。
その夜も、月島は何気なく、ユキの部屋のバルコニーに目をやる。
すると、ユキはバルコニーに出て、バルコニーの柱を触ってみたり、うろうろしている。
月島「?」
次の瞬間、ユキはバルコニーの手すりに乗って、立ち上がる。
今にも、バランスを崩しそうになりながら、手すりの上を横歩きし始めた。
月島「あいつ、死ぬ気か?」
月島は、めんどくさそうに、自分の部屋を出る。
そして、ユキの部屋へ向かった。
月島「入るぞ」
月島が入ると、ユキは網のようなものを持って、バルコニーの手すりに乗っている。
人の気配に振り返った時、ユキのバランスが崩れる。
ユキ「っ!」
月島「お前っ!」
月島は、慌ててユキを抱き寄せた。
月島「何やってんだ、お前は」
ユキ「何で、あんたがここに?」
月島「あんたじゃなくて、ご主人様だろ」
ユキ「今は時間外。離して」
ユキは、月島の腕から抜けようとする。
月島「何しようとしてた?」
なかなか抜け出せない、月島をユキは突き飛ばす。
ユキ「勝手でしょ」
月島「そうはいくか。
うちのバルコニーで、何をする気だ?」
ユキは溜め息をつきながら、持っていた網を見せる。
ユキ「これを付けるのよ」
月島「何だ、これは?」
ユキ「見て分かんないの?
ハンモックよ」
月島「ハンモック?」
ユキ「私の楽しみの時間があったって、いいでしょ?」
ユキは再び、手すりに乗ろうとする。
月島「貸せ」
月島は、ユキからハンモックを奪い取ると、落ちていた説明書を読む。
そして、器用にハンモックを付けていき、あっという間に付け終わった。
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