北海道 ~2人の想い ~

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懐かしい… そして 愛しい香り 月島は、ユキを抱き締めたまま、ユキの耳元で言った。 月島「ユキ、お前は馬鹿だ…」 ユキ「なっ…」 月島「でも、もっと馬鹿なのは、俺だ。 お前に去られて お前のいない毎日が こんなに、耐え難いことを お前がいなくなってから気付いたんだ。 いなくなってから… ユキをこんなに愛していることに やっと気付いたんだ」 身体を離すと、ユキは目に涙を浮かべていた。 月島「ユキ。お前が好きだ。 だから、一緒に帰ろう。 もう2度と手離さない。 手離せないんだ」 月島は、再びユキを抱き締める。 ユキ「あんたって…」 月島「琉生。 俺の名前は琉生だろ」 ユキ「琉生…」 その時、抱き合う二人に人がぶつかる。 月島「っ!」 ユキが月島から身体を離すと、月島の真後ろに、ニヤついた男がいた。 男「やった!やったぞ! ついに、俺も手柄を取った!!」 状況が掴めないユキの前で、月島は崩れる。 ユキ「…え?」 月島の足元の雪に紅い円が、どんどん大きくなっていく。 ユキ「琉生!」 月島は、脇腹を刺されていた。 男は視点の合わない目で、笑いながら叫んだ。 「大神奏を殺ったぞ~!!」 そして、男はユキを見る。 「あ、大神の女がいたか」 男はユキに刃先を向ける。 「悪く思うなよ」 ユキ「っ!」 .
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