ユキと月島の2週間

2/12
前へ
/207ページ
次へ
ユキは、ベッドの上で大きなクッションに寄りかかる月島に、お茶を渡す。 月島「お前がお茶を用意すると、あの汚い丼を思い出すな」 ユキ「言葉を慎んでと言ったはずよ。 好きなくせに」 月島「また食べたい」 ユキ「完全復活したらね。 脇腹とは言え、お腹の手術したのよ」 月島「やれやれ…うるさい世話人だな」 ユキは、月島の顔の前に人差し指を立てる。 ユキ「だったら、違う人を頼んで」 月島は、差し出された指の手ごと、包んで引き寄せた。 月島「嫌だね」 イタズラな瞳の中にも、真っ直ぐな光が見えて、ユキは目を反らす。 月島「また反らす」 ユキ「琉生の瞳はキライ」 月島「何で?」 ユキ「…迷いがない、から」 月島「じゃあ、お前は何を迷ってる?」 ユキ「離して」 潤んだユキの瞳に、月島は諦めたように、手を離す。 ユキは、空気を変えようと、切り出す。 ユキ「食事はしばらく、お粥として、お風呂は?」 月島「抜糸までは駄目らしい」 ユキ「身体を拭くのね」 月島「2週間も風呂に入れないなんて… 北海道は、まだまだ寒くて、手足から冷えていくっていうのに…」 肩を落とす月島をユキは見ていた。 その夜。 月島は夢を見ていた。 ユキと自分の前に、自分を刺した、あの男が現れる。 男はナイフを振りかざす。 また刺される!! 「お前は、もう刺したからな」 笑う男が向けた視線の先には 月島「ユキ!!」 男は、ナイフを振りかざして、ユキに襲いかかろうとする。 ユキ「きゃあああ!!」 月島「ユキ!! やめろ!!やめてくれ!!」 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加