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「提督、帝国軍が動きました。敵は2手に分かれて、高速で移動しています。おそらく我が軍を挟撃するつもりでしょう」
そう報告したラッシの目は好奇に満ちている。
ラッシはアルフレートの実力を測ろうとしている。
「第4艦隊を叩く! 渓谷を左回りで進むぞ!」
アルフレートの号令で艦隊が動き出した。
艦隊を敵陣突破に有利な紡錘陣という陣形に編成した。
前後に長細い形をしている陣形だ。
その陣形の先頭にはハスティ少将率いる分艦隊が陣取っている。
少将は超突猛進型の指揮官で、敵を見れば攻撃せずにはいられないアグレッシブな性格をしている。
「おや、もう接敵か。ずいぶんとお急ぎのようだな。急ぎすぎて陣形に綻びが多いじゃないか。これはチャンスだ! 敵艦隊中央に主砲斉射!」
戦艦正面の主砲が咆えた。
砲口から禍々しいまでに赤い光線が空間を裂いた。
狙われた戦艦は正面にシールドを展開する。
そこに多数の光線が殺到した。
無数の光線はシールドをあっという間に破壊した。
シールドを突破した光線は戦艦の外装を突き抜け、そして内部に侵食、そして猛り狂う猛獣のように暴れまわった。
獣に食われた戦艦は前部から爆発して、一瞬で全体が炎に包まれた。
燃える戦艦は隣の戦艦に衝突し、被害と混乱が拡大再生産されていく。
「正面が崩れたぞ。一気に中央突破して後背展開だ」
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