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「こういうことは焦っちゃいけない。3つ数えたら一斉射撃だ」
そう言うと、ヒルヴィは咳払いをした。
「3<ドライ>」
装填手が弾を詰める。
「2<ツヴァイ>」
砲撃手がペリスコープで照準を合わせる。
「1<アイン>」
そして引き金に指をかける。
「撃て!」
ペイヤイネンが咆哮を上げた。
砲弾は空気を震わせ、目標へ小さな放物線を描いて突き進む。
そこには何の躊躇いもなく、ただ目標を破壊するという絶対的な義務だけがある。
義務に従い、砲弾は敵戦車の装甲を貫いた。
それは車内で爆裂し、爆風と高熱と砲弾の破片が手を取り合い、死神となって乗員の命を摘み取っていく。
「もう一撃喰らわせてやれ、撃て!」
帝国軍に砲弾の嵐が再び吹き荒れた。
猛烈な嵐の前に、陣形が乱れた帝国戦車部隊は紙屑のように吹き飛ばされる。
「敵は崩れた! 対空戦車部隊は稜線で敵艦に攻撃し、他は窪地に突っ込め!
それに対し、帝国戦車部隊は散発的な反撃か逃げることしかできない。
対空戦車イルマリネン部隊は空に向けて砲弾を連射する。
第4艦隊も対地機関砲で迎え撃つ。
地上と空の間を無数の銃弾で埋められる。
地上から空に向かう銃弾のうちの1発が第4艦隊のある艦の機関部に直撃した。
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