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「首都防衛軍第4艦隊旗艦エイトリの撃沈を確認しました」
「混乱した状況でよくわかったな。第4艦隊の残存戦力を無視して第5艦隊を討つ。再び反転して前進し、第5艦隊の背後から攻撃する」
第9艦隊は再び渓谷を左回りに進み始めた。
その数分後、首都防衛軍第5艦隊は第9艦隊が待機していた場所に到着した。
「どういうことだ! 敵の姿がどこにもないではないか!」
カペルは狼狽した。
いるはずのものがいないのだから当然の反応だろう。
「敵はどこにいる!」
「ただいま探索魔法で探していますが、ここは渓谷なので死角が多いのでなかなか見つからないのです。なお、第4艦隊とも連絡がとれません」
参謀長が気まずそうな顔をして言った。
「密集隊形を解いて、円形陣に再編した上で索敵範囲を拡大するのはどうでしょうか?」
恐る恐る参謀長が進言した。
「戦力を分散させてしまうことになるが、第4艦隊をあてにできない以上はこちらでなんとかするしかないのか……貴官の進言に従おう」
艦同士が互いに距離をとり、探索の網が広がっていく。
そして網に魚が引っ掛かった。
しかし、その位置がカペルやその幕僚の予想と異なったいた。
「提督、敵は後ろにいます!」
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