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参謀長は驚きを隠せない
「後ろだと! 第4艦隊は何をやっている!」
カペルも指揮官である以上いつまでも慌てていられない。
「陣形を密集隊形に戻しつつ、反転迎撃せよ!」
しかしその命令が破滅を招いた。
戦力が分散して攻撃力不足の状態で、迫りくる王国艦隊を迎撃しつつ、密集隊形に戻ることなど無茶苦茶な命令だ。
戦艦1隻に対し、王国艦隊は3隻以上で攻撃を仕掛けてくる。
勝ち目などどこにもない。
次々に各個撃破されて数を急速に減らしていく。
具現化された絶望の前に帝国軍の将兵はなすすべもなく踏みにじられる。
指揮官であるカペルも圧倒的な絶望に呑み込まれてしまった。
最早どのような指示を出したとしても戦況は覆ることはない。
カペルがいる戦艦ブロックを赤い光の死神が容赦なく引き裂いた。
残された帝国軍は運よく追撃を振り切って退却に成功するものと、追い詰められて降伏を迫られるものの両者に分かれた。
残存部隊を処理中に、王国軍の増援が予定よりも早く到着した。
渓谷で戦闘が始まったことを受けて行軍速度を速めたのだろう。
戦艦イルマタルでは司令部からの命令が書かれた電報が届いた。
内容は渓谷付近の湖で待機して、エーリューズニルを攻撃している主力軍の右翼を固めるようにとのことだ。
エーリューズニルは激戦の渦中にある。
この第1次大陸戦争北部戦線の趨勢はかの地で決まろうとしている。
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