エーリューズニルの戦い

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****** 「跳躍魔導砲はいつでも撃てるか?」 皇帝エアハルトは帝国軍総参謀長ヒルデブラント・ブルーメンタール大将に尋ねた。 ヒルデブラントは今年で39歳を迎える男で、数多の戦いに参加して負けたことがなく、そのためこの歳で軍部の実力者となった。 「はい。どこに向けて撃ちますか?」 「1時方向だ。あそこから来る圧力を軽くしたい」 「了解しました」 ヒルデブラントは通信手に指示を首都の砲台に伝えるよう命じた。 「そういえば防衛第4,5艦隊はどうなった?」 「両艦隊の指揮官は戦死した模様。残存戦力はこちらに向かっています」 「残存戦力はこちらの旗下に置く」 「そう伝えておきます」 「それと目前の戦況の話だ。わが軍の右翼が危険だ。後ろに下げろ。中央と左翼は前進して敵の陣形を乱れさせる」 手元の戦術コンピューターの画面に一部だけ後退し、他は前進する青い凸と、たくさんの赤い凸が青の動きに対応している。 「もうひとつ報告です。今日の日没後に第3、4、7、12艦隊がグニパヘリル渓谷に、第8、9、10、11艦隊がヘルグリンド平原に展開する王国軍を攻撃できるとのこと」
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